FM三重『ウィークエンドカフェ』2013年6月22日放送

今回のウィークエンドカフェは、紀北町海山区引本浦にある『海上釣り堀 貞丸』の、山口剛史さんをお迎えしました。

引本浦は、穏やかで自然が豊かな場所です。
春は桜を見ながら、また鳥の鳴き声を聴きながら釣りを楽しむことができます。
お客様の年代は、様々。
長老といわれる91歳のおじいちゃんは、とても研究熱心で有名です。
家族や会社の仲間、いかだの上で楽しい時間を過ごしています。

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■海上釣り堀の醍醐味とは

まず『海上釣り堀』というのは、釣り堀自体にいけすを張ってあるんですけど、それが海上にあるわけです。
そこに魚を放流するんですよ。
より、海釣りの感覚に近く、なおかつ、難しさもあるので面白いんです。
いけすの中に魚を入れているのだから、すぐに釣れるというイメージがあると思うんですが、実は違います。
魚の知能がはるかに高く、

「あんなに魚を入れたのにどうして釣れんのや」
「お前が餌をやっとるんやないか」

と言われることもあるほどです(笑)
魚の質が良いというか賢いというか・・・それがゲーム性を呼んで面白いんですよね。
一度来た方はみんなハマります。

今日来て、みんなに自慢できる釣果があったとしても次回もそうだとは限りません。
全然当たらないこともあるのが当たり前です。
今回爆釣した時に使ったエサが、次は全然通用しないとかも、もちろんあります。
しかし、それが魅力なんですね。
実際の魚の気持ちは魚にしかわからないので、自分なりに情報を仕入れたり工夫したり、こだわりを持ってきたり・・・。
それで結果が良ければ、みんなに自慢できるし、ダメだったらさらに工夫して・・・そういう楽しみ方なんです、釣り堀は。

お客さんはやはり、もともと釣りが好きな人が多いです。
それから、長年いろいろな釣りをしてきた方が、最後にたどり着く場所でもあります。
なぜかというと、『海上釣り堀』は足場がしっかりしているので、お子さんからお年寄りまで安心して釣りができるんです。
だから、かつて磯釣りなどいろいろな釣りをされていて、足腰が弱ってきた方がこちらに来ると、沖に行かないと釣れない魚も放流してあるので、楽しめると。

釣り師はたいがい、魚が釣れなかったら「ここには魚がいない」と思うわけです。
でも、釣り堀は目の前で放流するし、すでに入っている魚もいます。
それでなおかつ釣れなかったとなると、「今までオレのやってきたことはなんだったんだ」となるわけです。
言い訳ができない(笑)


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■ビギナーズラックはある!

『ビギナーズラック』は確かにあります。
釣る人に殺気がないからかもしれません。
ビギナーの方を連れてきた釣り師は、まず釣るところを見せて良いカッコをしたいわけですから、すごい殺気があるんですね。
なので、連れて来られたビギナーの人が、絶対釣れるんですよ。
僕がけっこう見ていて、このパターンは多いです。
で、釣り師の方は面目が立たない。
行きは「オレの言うこと聞いとれよ」的なことを言っていたのが、帰りは無口になって、ポソリと「ま、ビギナーズラックやな」と(笑)

初めての釣りが釣り堀というパターンも多く、ハマっていく方がいますね。
そこからまた広がって、違う釣りへと移行する人もいるようです。
しかし、釣り人口が減っている中、釣り堀だけは増えているようなんですよ。

なぜかというと、以前は豊かだった磯が、乱獲の結果、磯焼けを起こしたりして、釣れなくなって来ているんです。
そういう意味で、釣り堀は安定していますからね。

放流している魚は真鯛、シマアジ、ハタマス・・・青物だとハマチやカンパチ、ヒラマサです。

青物は引きも強く、ちょっと難しいんですよ。
だからお客さんは、まずは鯛を釣って、次は青物を、と。
エサもそれに合わせて買ってくるとか・・・エサ選びから釣りは始まっているんです。

ところで、『海上釣り堀 貞丸』はもともと、祖父の代から始まった、真鯛の養殖業なんです。
それから仲買い業を始め、さらにトラックを購入して、県外に魚を売りに行くということをしていまして、それから『海上釣り堀』を始めたんです。
今は釣り堀を通して、より消費者に近いところで商品を提供する、という形になっています。
お客さんの声がモロに聞こえてくるので、釣れた魚を「美味しい」と言ってもらえるのが、一番嬉しいですね。


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■楽しみ方は人それぞれ!『貸し切り』が多いのが特徴!

お客さんはやはり、県外の方が多いですね。
三重県内でも、この地域外の方。
奈良・長野・岐阜など、海のない県からのお客さんが多いです。
海のない県からいらしたお客さんが、一番ワクワクしていますね。
海まで旅行がてら、釣りに来ているという感じが多い。

釣っている人を見れば、竿がどんな竿かもわかります。
竿で違うんですよ。
感度が良いのはやっぱりよく釣れるし、そうなると良い竿が欲しくなるのは当然ですね。
お互い見える位置にいるので、よく釣れる人のエサなどを見て、次に来る時の参考にしている人も多いですよ。

持ってくる竿の数は、平均で3~5本くらい。
基本的に『青物』を釣る竿と、それ以外の魚を釣る竿とは分けていますね。
そして竿を短めにしたりとか、みなさん色々工夫されています。
釣っているうちに折れたりする可能性もありますし、だから3~5本。

一般のお客さんは、竿は1本しか出しちゃダメなんですけど、『貸し切り』の時は自由にしてもらっています。
実は、グループなどでの『貸し切り』が意外と多いんですよね。
釣り堀と言えば『貸し切り』というくらい、一般的です。
会社のレクレーションの一つとして、需要が高いんです。
みんなで長い時間、お酒を飲みながら釣る・・・いい時間なんですよ。
貸し切りの時は、何本竿を出しても大丈夫、自由です。

貸し切る人数としては、だいたい、1辺に2名ずつなので8名。
しかし、釣りはせずにお酒を飲むだけがメインの貸し切りがあったんですが、この時はなんと、15名!
到着するや否やビールを開けて・・・ほとんど釣りしないんですけど、面白いみたいですね、お花見的な感覚というか。

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■釣り堀だけでなく、海山のよさを感じてもらいたい

主に若手の生産者さんを中心とした『町を元気にする』というリーダー会議がありまして、『街を豊かにするためにはどうしたら良いか』という話し合いを行なっています。
この地域は自然豊かで魅力的なものがたくさんある。
そして人材も、とても魅力的な人が多いんですね。
『夢古道おわせ』のアドバイザーである伊東将志さんによる『伊東塾』を通して、良い人たちと巡り会いましたし。
個々で活動している限りでは『伸びシロ』があまりないと思うのですが、繋がっていくとすごく広がるというか。
実現できなくても、話をするだけでも面白いです。

そういった取り組みの中で、ウチの場合は、『釣り堀』を通じて、町の施設や物を色々結びつけたら面白いかな、ということで、今後『釣りコン』を考えています。
『釣りコン』の後は、町内の宿泊施設やバーベキュー施設などに移動してもらい、そこで釣った魚を食べてもらうとか。

繋がっていくことへの面白みとか広がりとか、まだまだあると思います。
せっかく県外・県内・町外から来てもらっているのに、釣り堀だけ来てそのまま帰られちゃうのはもったいないでしょう。
こっちの良さを知ってもらって帰ったら、今度はそこを目当てに来てもらえば、それはそれで良いですし。

外からたくさんお客さんが来てくれることが、町の豊かさにつながると思うので、それは大事だと思っています。
より長く、町で楽しんで欲しいですね。

夏には、紀北町の若手の生産者さんたちが集まって、『海・山こだわり市』を開催する予定です。
自慢の逸品を持ち寄って、紀北町のファンを増やしていきたいです!